一般的にインプラントができないと診断された場合の治療法

インプラント治療が難しいケース

インプラントは、歯を失ってしまった人にとって、本物の歯に近い見た目や使い心地を得ることができる治療法であり、若い世代から高齢の方まで適用できる安全性に配慮された治療法です。しかし、中には治療に適していない場合もあります。それはどのようなケースなのでしょうか。

骨が少ない、骨が薄い

インプラントは、人工歯根を顎の骨に埋め込むため、顎の骨に十分な厚さや幅が必要となります。顎の骨の厚さや幅が不十分な状態にもかかわらず、無理にインプラントを埋め込むと、顎の骨に炎症を起こしたり、その付近の神経や血管を圧迫してしまう可能性があります。

骨が少ない人のインプラント治療を可能にするPRGF再生療法

骨が少ない場合には、PRGF再生療法という治療で、インプラントが可能になることがあります。患者自身の血液を採取し、そこから成長因子を抽出。その成長因子を使って、骨や軟組織の再生を促すという方法です。自分自身の血液を使用することから、拒否反応がなく、安全性の高い治療法だといわれています。

重度の歯周病がある

口の中に歯周病菌がある状態でインプラントを入れると、「インプラント歯周炎」を引き起こす可能性があります。インプラント歯周炎は、インプラントの周囲に歯周病菌が感染し、最悪の場合、インプラントを抜かなければならなくなる病気です。そうなると、再びインプラントを入れることが極めて困難になるため、歯周病があると、一般的にインプラント治療を行うのは難しいと考えられています。

歯周病患者のインプラント治療を可能にする歯周再生治療

歯周病になったら、インプラント治療は不可能かというと、そうではありません。人工膜を使用し、歯根膜や歯槽骨の歯周組織の再生を促すGTR法や、たんぱく質の一種を歯根の表面に塗って歯周組織を再生させるエムドゲイン法、自分の骨や人工の骨を移植する骨移植などの治療法もあります。

妊娠中である

インプラント治療を受けるためには、CT撮影やレントゲン撮影、外科手術が必要になりますが、それらの診察や治療は、胎児や母体に大きな負担をかける可能性があります。また、一般的な虫歯や歯周病の治療の際に使用する麻酔量であれば、胎児や母体への影響は低いとされていますが、インプラント治療の場合、それよりも多くの麻酔を使用するケースがほとんどです。さらに、術後の細菌感染防止のための抗生物質や痛み止めも、胎児や母体へのリスクがゼロであるとは言い切れません。

糖尿病や心疾患を患っている

糖尿病の場合、血液の循環が悪く、栄養や酸素を十分に送ることができないので、傷の治りが遅くなるほか、免疫力が低下しているため、細菌感染のリスクも高まります。手術中も、ストレスによって血糖値に変化が出やすくなるといわれています。

心臓病の人は、まずは主治医に相談しなければなりませんが、心筋梗塞や狭心症を起こしたことのある人は、インプラント治療を受けることは一般的には難しいとされています。

子供や未成年

子どもの顎は成長過程にあるため、インプラントと埋入したとしても、成長とともにインプラントの位置がずれてしまい、ほかの歯に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、インプラント治療を行うことはできません。顎の成長が治まる20歳頃を目安に、インプラント治療を可能としている歯科医院が多いようです。